News

2022.08.02

7月30日大阪府阪南市 波太神社での総舞のご報告

7月30日、大阪府阪南市 波太神社にて総舞を奉納致しました。

本年の催事は昨年に引き続きコロナウィルスの収束が進まぬ中での実施となり、入場時の検温・消毒や椅子席の間隔確保など必要な感染予防策が徹底された上で実施されました。

 

 

△阪南市新町のご有志よりご寄進頂いた表札です。同地区のやぐら(地車)の新調に際し同じ木々を使用し制作頂いた物であり、正に伊勢大神楽のお宮と新町のやぐらが木々を通じて親戚になるよう-そんなご有志の気持ちも背負いつつ7月の泉州を旅し、当日を迎えました。

 

 

波太神社総舞は祭事催行9年目を迎えました。すっかり、お馴染みとなった山本勘太夫社中の総舞みやげ販売所も設置されお祭りの雰囲気に華を添えます。

 

△予告なく新作が並ぶのも波太神社総舞の特徴です。

実は総舞みやげの発祥はこの波太神社総舞なのです!平成30年の波太神社総舞に際し同年に発生した西日本豪雨における被災地支援の寄付金を募る過程で企画がスタートしたのが、その始まりです。当時、たくさんの総舞みやげをお求め頂き、支援にご協力頂いた皆さま、ありがとうございました!

 

総舞開始に先だって本殿にて総舞奉納奉告祭が執り行われ、御祭神に9度目の奉納奉告を行います。

 

△鈴の舞(舞手:松下雄陽)

 

 

△扇の舞(舞手:松下雄陽/ 猿田彦:長谷川大貴)

 

 

波太総舞において放下師として先陣を切るのはこの方、地元阪南市出身の指吸長春です。

本年6月には三重県出身者・家元血縁者以外では史上初となる本部理事に就任し、役員として一大神楽師として二足の草鞋を履きながらの旅を歩みだしました。

 

△綾採りの曲(放下師:指吸長春/松下雄陽)

 

 

 

△水の曲皿の曲(放下師:山本勘太夫)

 

 

△水の曲突き上げ(放下師:加藤菊太夫社中所属 加藤菊太)

昨年度は宗家 山本源太夫社中より助演がありましたが、本年は加藤菊太夫社中所属 加藤菊太が参加致しました。将来の太夫名襲名に向け家元修行中の大神楽師ですが、若手時代には勘太夫社中の泉州の回檀にも毎年帯同しており-

加藤菊太「懐かしい。昔の総舞は岸城神社で夜神楽だった。阪南の町の様子は10年前と変わっていないね。」

 

いや、月化粧ファクトリーができました。宜しければ泉州土産にどうぞ!

 

 

△毬獅子の曲(翁:山本勘太夫/獅子:松下雄陽)

今年は泉州一円で披露して回った毬獅子の曲です。勘太夫社中においては日頃は滅多と奉納しない稀少な演目ですが、コロナも再び蔓延し大きな声で笑ったりが難しい状況下において、喜劇的演目にてどこまで笑って頂けるのか?そんな挑戦も兼ねて各所で披露致しました。

さて、反応はいかに??

 

 

『献燈の曲』別名を茶碗継ぎ継いでいく茶碗の数は一年の厄払いを祈念し12。更に腕に覚えがある者は14を継ぎ足していく。

茶碗はもちろん割れ物を使うため緊張感が漂う。

が、なぜか受け渡し役の方が緊張の眼差し。

 

△献燈の曲(放下師:松下雄陽)

 

 

△神来舞南勢 伊藤森蔵流(舞手:指吸長春・勘太流大神楽師保存会 楠見ブライアン晃)

本年も伊藤森蔵流を奉納致しました。かつて泉州で大変な人気を誇った伊藤森蔵流の神来舞を約30年ぶりに復活させてから早7年。過ぎた時間の中で舞が磨かれ、新たな舞手による魅力・味が生まれてくるのが神来舞の魅力です。

 

 

△劔三番叟(放下師:山本勘太夫)

毎年恒例、9年連続9度目となる山本勘太夫による劔三番叟の奉納です。

波太神社総舞における配役が一度も変わらないのは、この劔三番叟だけです。

 

楽屋に舞台に大忙し。

 

 

△魁曲

先発(上乗:指吸長春) 後発(上乗:長谷川大貴/台師:松下雄陽)

総舞の締めくくりはやはり魁曲です。冬の建部大社と並び夏の大奉納である波太神社では、やはり二頭立ての花魁道中がよく似合います。本年は未熟ながら若手コンビも登場致しました。来年はいよいよ祭事催行10周年を迎えるとあり、来季の飛躍を胸にまた精進の日々が始まります。

 

 

 

まだまだ感染病の収束を見せぬ状況下ではありますが、大きな混乱なく無事に奉納させて頂く事ができました。

本年もご参集の皆様方、誠にありがとう御座いました。

 

来季はいよいよ節目となる10周年。文化や歴史として語るには短いのかもしれません。

しかし、伊勢大神楽の総舞という夏祭に馴染んで育った子供たち、コロナ禍での数少ないお年寄りの楽しみ事。どんな形であっても目の前の皆様やご祭神への祈念事を大切に続けてきたからこそ迎えられる節目なのだと思います。

皆様方と来年7月末、波太神社総舞にてお出逢いできるのを楽しみにしております。

山本勘太夫