8月14日、山本勘太夫社中にとって夏の岡山備前の初日と古来より日程が決まっておりますが、豊田市で例年開催されているSOUL BEAT ASIA2025『橋の下大盆踊り』で大神楽が出演する運びとなったため、勘太夫社中より山本春太夫組が派遣されました。
この催しは、東日本大震災を期に2012年より『橋の下世界音楽祭』として豊田大橋河川敷の千石公園にて、豊田市を拠点に活動する音楽グループ、地元有志の方々が中心となって「皆で作る自分たちの祭り」をスローガンに“伝統”“アジア”をテーマにして開催され、露店出店数も100店舗を超え、会場には飲食店はもちろんの事、骨董屋さんにマッサージ屋さんからお化け屋敷まで多岐にわたり、会場内には関所があったり、鳥居があったり、櫓があったりと、橋の下に現れた一つの町ようでもあり、そのオリジナリティ溢れる祝祭空間と運営は通常の音楽フェスティバルとは一線を画すオルタナティブなお祭りとして各方面から注目を集めています。
参加した大神楽師の率直な感想→「まるで未来の江戸時代にタイムスリップしたみたいで、めちゃくちゃ面白かった」そうです、、、では当日の様子です。
当日は我々の普段の回檀さながら、会場内を町に見立て朝神楽から始まり出店された飲食店や雑貨店など様々な各店舗のお祓い廻りです。
先立って何の告知もしていないにも関わらず、心よくお迎えくださるお店の方々が、このお祭りの懐の深さを物語っておりました。
厄年の厄祓いをご依頼されたり、もちろん皆さん頭噛みも。子供達も大喜び。
各店舗の回檀後、いつもの様に寄席囃子で櫓前にて総舞開始をお知らせし、皆さん続々と集まって来られます。
△剣の舞・四方の舞(舞手:山本八太 猿田彦:勘太夫流保存会)
△綾採りの曲(放下師:山本八太 道化師:山本春太夫)
△『水の曲』(放下師:山本春太夫 道化師:山本八太)
△神来舞(舞手:勘太夫流保存会)
△魁曲(上乗り:山本春太夫 台師:山本八太)
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ここでも終了後には恒例の頭噛みと手ぬぐいなどの物販も好評でした。
来場者、出演者、運営者が共に創り上げる”橋の下世界”。私の拙い文章ではこの場の魅力はなかなか伝えきれませんが、会場全体が自由で活き活きとしたエネルギーで溢れ返っておりました。
舞台である矢作川河川敷。河川は古代より流れに沿って人や物が移動し、境界をなす場であると共に交易の場でもあり、そこから多様な文化、芸能が花開いて参りました。そしてそこにこそこの祝祭の源泉があり、多様なものをのみ込む原動力となって更に新しい文化が創られていくのではないかと思います。そこにはもしかしたら、私たちの社会の未来を考えるヒントがあるのかも知れません。
最後に、運営スタッフの方々、当日の回檀にご協力下さった店舗の皆様方、厚く御礼申し上げます。またご縁がありましたら幸いでございます。
国指定重要無形民俗文化財 一般社団法人伊勢大神楽 理事 山本春太夫