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2020.02.05

2月3日 滋賀県大津市”建部大社”での総舞ご報告

本年も2月3日、滋賀県大津市建部大社“節分祭”にて総舞を奉納させて頂きました。


建部大社はヤマトタケルノミコト(日本武尊・倭武命)をご祭神としてお祀りする近江国一宮であり、武運来運の神として古より信仰を集めてきました。

 

 


近年は参拝者も益々増加し、総舞奉納に先だって境内で行われる豆まき神事では、たくさんの参拝者が境内を埋め尽くします。

 

 


伊勢大神楽の総舞は古より“寄席太鼓”で始まります。寄席太鼓では必ず熟練者が囃子方を務め歳月を経て積み上げた技量でもって人寄せ及び御祭神へのご挨拶を行います。

 

 


△鈴の舞(舞手:松下雄陽)

神事における禊祓いの意を持つ鈴の舞です。

 

 


△四方の舞(猿田彦役:山本明一/舞手:松下雄陽)

猿田彦役は社中最古参の大神師である山本明一が務めました。昭和・平成と時代を跨ぎ約半世紀に渡り大津の町や人々の暮らしを見て今日まで歩き続けております。

 

 


道化師は昭和後期からは専従化が進んでおりますが古来、経験と人気から熟練の放下師が担うのが一般的となっておりました。新たな時代始めの総舞に際し放下師の指吸長春が原点回帰となる道化師を務めさせて頂きました。

 

 

 


△綾採の曲(道化師:指吸長春)

本年の奉納では、本来放下師を務める指吸長春が道化師役を担いました。

 

 


△水の曲“半水”(放下師:指吸長春/道化師:石崎雄一朗)

 

 


△水の曲“長水”(放下師:松下雄陽/道化師:石崎雄一朗)

 

 


△水の曲“突き上げ”(放下師:山本勘太夫/道化師:石崎雄一朗)

 

 


△水の曲“皿の曲”(放下師:山本勘太夫/道化師:石崎雄一朗)

 

 


△吉野舞(舞手:松下雄陽)

 

 


△手毬の曲(放下師:指吸長春/道化師:石崎雄一朗)

全放下芸の中で最も素朴で最も難易度の高い“至難の放下”と言われる手毬の曲です。伊勢大神楽講社に5社中が在籍しますが、現代では伝承が途絶えている状態が続いており、勘太夫社中でのみ奉納されております。高い難易度を感じさせないテンポの早い技ともどき芸が笑いを生みます。

 

 


△献燈の曲(放下師:松下雄陽/道化師:石崎雄一朗)

伊勢大神楽における放下芸の華“献燈の曲”です。昨年に引き続き若手放下師の松下雄陽が務めました。現在の社中では8名の内半数の4名が大神楽師一般公募により平成28年以降に入門した若者であり、着実に次代の担い手へ技術の継承が進められています。

 

 


△神来舞“南勢 伊藤森蔵流”

近代最高の流派と称された“伊藤森蔵流”神来舞です。

 

 

 

 


若き日の先代勘太夫や社中最古参の山本明一が得意とし山本勘太夫家に受け継がれてきた劔三番叟です。建部大社総舞においても永らく奉納されてきました。

 


△劔三番叟(放下師:山本勘太夫/道化師:石崎雄一朗)

当代勘太夫が演目を担って12年。新たな時代でも絶やさず奉納される古典の放下芸です。

 

 


△魁曲(先発:指吸長春/石崎雄一朗 後発:山本勘太夫/松下雄陽)

総舞を締め括るのは、やはり花魁道中です。節目の奉納が続き三年連続となる二頭立てによる魁曲を披露致しました。

 


総舞終了後は頭噛みの御祓いに長蛇の列ができます。

 


終了後のお楽しみとして定着した社中の大神楽師による手渡しでの総舞記念品の授与や楽祓(大神楽が回って来ない地域の方々への神札授与)に際しては、参集者と直接言葉を交わし、来年の再会を約束します。

 


令和2年、建部大社においては時代始めの節目の総舞となりましたが、例年以上に皆さまの温かきご声援を受け無事に奉納を終える事ができました。暖冬とはいえ、厳しい寒さの中での奉納でしたが、最後までお付き合い頂きました皆様方に心よりの御礼を申し上げます。

 

お集まり頂きました皆様方が身健やかに新たな時代でお過ごしされていきますよう、社中一同ご祈念致しております。

家元 山本勘太夫