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一年を旅に生きる

伊勢大神楽講社の大神楽師は、一年の大半を旅の空で過ごします。現存する五つの家元(太夫)は、元旦からそれぞれの檀那場へ赴き一年を掛けて西日本を中心に諸国を巡ります。十二月になると、三重県桑名市増田神社にて行われる祭礼行事に合わせて旅から戻り、再び大晦日には檀那場へと赴くのです。

伊勢大神楽とは Ise-Daikagura

獅子舞を舞いながら諸国を巡り、かつては伊勢神宮、現在では伊勢大神楽講社の神札を頒布してまわる神楽です。江戸時代、庶民の最高の娯楽は“お伊勢参り”でした。伊勢は天照大御神が鎮座する地でありながら、土産物屋や遊郭がひしめきあい、そこには現代の厳かな姿のお伊勢参りとは全く違う、庶民による娯楽と信仰の世界が広がっていました。神宮の代参人でありながら、娯楽芸能の形を遺した放下芸や萬歳(まんざい)を今に伝える伊勢大神楽講社はその江戸期のお伊勢参りの姿を現代に遺す”歩く重要文化財”と表されます。

伊勢大神楽とは Ise-Daikagura

伊勢大神楽講社には古来より八舞八曲の十六演目の神楽が伝承されています。大神楽師は八つの獅子神楽・八つの放下芸を修得する芸能者でありながら、その根幹は450年以上にわたり家々の竈祓い・神宮の代理参拝人の役を担う旅先の村々で続けられる信仰者としての姿にあります。江戸時代まで伊勢大神楽講社の大神楽師達の身分は神職身分(増田神社社人)でした。桑名の大神楽師達は諸国の大名達と強い師檀関係を築き、全国に檀那場を築きました。桑名市には現在でも各藩の通行手形・往来手形に加え、江戸幕府より授かった神道裁許書・伊勢神宮祭主からの神道免許の署名である祭主下文などが保管されています。

各太夫は先代に変わり、本拠地である増田神社の祭儀“神講”に参列する事で太夫の名跡を引き継ぎます。(当代 山本勘太夫襲名披露の模様 2014年12月)

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