News

2018.12.28

12月24日 増田神社での総舞ご報告

12月24日、本年も伊勢大神楽の本拠地である三重県桑名市太夫 増田神社にて、伊勢大神楽講社全5社中による総舞が奉納されました。


△増田神社では、例年12月23日に例大祭“神講”を執り行い、24日に総舞奉納を行っています。24日の総舞は大神楽師達にとって一年で最後の神楽奉納であり、新年の回檀へ出向く準備を整えて執り行う“新年最初の神楽奉納”でもあります。翌25日には新たに漆を塗り直した獅子頭を増田神社へ持ち寄り、新たな御魂を吹き込む“御魂入れ神事”を行います。

 

 


総舞の奉納に先だち本殿前にて鈴の舞・剣の舞を奉納し、増田大明神に総舞の開始を御報告致します。

 

 


△鈴の舞・四方の舞・跳びの舞(石川源太夫社中/森本忠太夫社中)
四方の舞と跳びの舞は11年連続で石川源太夫社中が担いました。和歌山県や三重県など近隣での活動が大半を占めます。

 

 

 


△扇の舞(伊勢大神楽講社 紀州支部山城修社中)
扇の舞の奉納は4年連続で紀州支部 山城修社中が務めました。山城修社中は東阿倉川系伊勢大神楽の石川源太夫流の流れを汲んでおり、同社中のみが伝承する舞手が数多く存在します。

 

 


本年は数年ぶりに森本忠太夫社中が綾採の曲を務めました。長らく所属大神楽師の高齢化に悩まされていた社中ですが、伊勢大神楽講社最年少となる17歳の大神楽師見習いが2名入門しており、今後の活躍が期待されています。


△綾採の曲(森本忠太夫社中/山本源太夫社中)

 

 


△水の曲(山本源太夫社中/石川源太夫社中/山本勘太夫者社中)

演目の後半部“突き上げ”は当社中の指吸長春が務めました。道化師役は石崎雄一朗です。

 

 


△水の曲“皿の曲”(山本源太夫社中)
水の曲の中でも人気の高い放下芸“皿の曲”です。当社中の青森県下北半島遠征にも帯同した寺尾寛が演目を担いました。

 

 


△吉野舞(山本勘太夫社中/山本源太夫社中)
壬申の乱の古事に因んだ吉野舞です。両社中のベテラン大神楽師が合同で務めました。

 

 


△手毬の曲(山本勘太夫社中)
当社中の家元 山本勘太夫が演目を務めました。平成20年に復活するまで25年以上に渡り修得者が現れなかった演目であり、現在も勘太夫社中以外での奉納は行われていない演目です。

 

 


昭和初期頃までの増田神社総舞にはいわゆるドラフト会議の様な役割もあり、各社中の若手大神楽師達が一年の修練の成果を増田大明神に披露する様を各社中の大御所達が審査し、実力に応じて社中の配置転換や職位の調整が行われていたと言います。

 


△献燈の曲(山本勘太夫社中)
総舞の華である献燈の曲は三年目の松下雄陽が務めました。昨年の水の曲に続き、着実に成長した様を増田大明神にご報告致しました。

 

 


△毬獅子の曲(山本源太夫社中)

 

 


△神来舞“南勢 伊藤森蔵流”(山本勘太夫社中)
神来舞は8年ぶりに勘太夫社中が務めました。勘太夫社中では廃業した旧社家である佐々木金太夫流(※現在の山本勘太夫流)に加え、旧加藤孫太夫流・旧森本長太夫流そして旧伊藤森蔵流を伝承しています。本年の奉納では昭和後期に大阪南部で大変な人気を誇ったと言われる伊藤森蔵流の神来舞を特別に奉納致しました。

 


△剣三番叟(森本忠太夫社中/加藤菊太夫社中)
長らく加藤菊太夫社中や山本源太夫社中の大神楽師により奉納されてきましたが、数十年ぶりに森本忠太夫社中が演目を担いました。日本古来の祝賀舞である三番叟と放下芸が融合した、非常に大神楽らしい演目です。

 


総舞の最後を飾る“魁曲”です。先発は2年ぶりに山本源太夫社中が務めました。

 


勘太夫社中は二番手としての登場です。

 


増田神社総舞でしか奉納される事のない四社中による花魁道中です。

 


△魁曲(山本源太夫社中/山本勘太夫社中/森本忠太夫社中/加藤菊太夫社中)
昨年に続き4組による花魁道中です。昨年4年ぶりに選出された加藤菊太夫社中に加え、森本忠太夫社中にも17歳の若手が加わるなど改めて世代交代を印象付ける奉納となりました。

 

 


本年も大変な寒空の下での奉納となりましたが、例年以上に多くの皆様にご参集頂く事ができました。お集まり頂いた皆様方が素晴らしき新年をお迎え下さる事を、桑名の地よりお祈り申し上げます。